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ブログ小説『一杯なかけそば』後編

2008年09月10日

『一杯なかけそば』後編  作:りゅうのすけ
前編はコチラ(http://kaizoku.slmame.com/e362667.html


これはよくあるシブヤのお話。

男は蕎麦が茹であがるのを待っていた。
店内のトッピングのコーナーに目がいっている。何か気になる物でもあるのであろうか。

ゲソ天90円、エビ天120円、さつま揚げ100円。

よくある蕎麦屋のオプションと言った感じだ。
男はポケットからデジタルカメラを取り出すと何か作業をはじめた。

ナルシストなホストが自分の写真でも撮り始めたのか、キャバクラのキャッチがお店の女の子のチェックでもはじめたのか、アバタータレントがBlogのネタ様に写真でも撮るのか、とにかく待ち時間をデジカメでつぶすようだ。

ほどなく蕎麦が出来上がったようで、店主がそのギョロっとした目を男に向けて

「あいよ。熱いから気をつけて」
と、またぶっきらぼうに伝えて、すぐにまた店の奥にいってしまった。

男は席を立ち、カウンターまで蕎麦を取りにいった。
両手を大きく開き、親指と中指の腹で器の縁を持った男が席に向かって振り返りざまに

「熱っ!!」

思っていたより器が熱くなっていたようだ

「熱っ!!熱っ!!熱熱熱熱熱!!!!!」

言葉がドンドンペースをあげている。
見ると最初の勢いで少し右に傾いた器からつゆがこぼれ右手の親指にかかったらしい

立て直そうとして、今度は左手側にこぼれる、戻そうとするとまた右手、左手、右手…
ドンドンテンポをあげつつ、釣りたての魚の様に手の上で器がはねる。
そして


ガシャ


予定調和の如く、蕎麦は器ごとフロアに落下。

「大丈夫っすか」
店主がカウンターから出て来る。

「すいません」
男はとても恐縮している。さっきまでのぶっきらぼうな2人の会話とは別な熱のこもった会話である。

「どうします?もう1杯作りますか?」
蕎麦をモップで寄せながら店主は聞いた。

男は少し熱さがひいたのか、落ち着いた声で

「はい、すいません。かけそばお願いします。あ、チケットは買いますから」






男の前に2杯目の蕎麦が届いている。
今回はわざわざ店主が運んでいた。お盆にのせて。
男が最初からお盆を使えばこんな事にはならなかった。

1杯280円のかけそばが560円に。
ゲソ天2本とさつま揚げも乗せた豪華版になれる値段である。

男は蕎麦を食べると渋谷の街へと歩き出した。



コレは渋谷のよくあるお話。
悲しい蕎麦屋のよくあるお話。

ブログ小説『一杯なかけそば』後編


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Posted by 海賊りゅうのすけ at 04:11 │Comments(0)小説な事
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